2010年8月26日 16:36

久しぶりに横溝正史の世界に浸りたいと手にした文庫本。
短編集なので気軽にね!なんて思っていたのが大きな間違いで、
あのエログロ世界にどっぷりハマってしまいました。
いまどきもっと強烈で残酷なミステリなんて沢山あれども、
やはり大横溝の世界は深くて暗いてはかり知れませんね。
おまけにミステリ仕立ての怖ぁい夢まで見てしまいました。
はぁ~、暑くてただでさえ寝不足なのに・・・。

「魔女の暦」のなかではいつも飄々としている金田一耕助の、
深い孤独を物語るシーンがありますが、
あそこで不覚にもグッときてしまったりもしました。

怖いし、切ない。
金田一耕助にしばし寄り添ってみてはいかがでしょうか。

2010年8月 5日 16:32

短編集「千年の祈り」で沢山の感動をくれたイーユン・リー初の長編小説です。
その静かな語り口から紡ぎだされる物語には、かなり強烈なインパクトがありました。
フィクションだということはわかってはいるのですが、これからは中国の人たちを見る目が変わってしまいそうです。
あなた達は一体、どんなものごとを乗り越えてきたのかと・・・。
近代中国の歴史というのは、隣国でありながら、日本で平穏に生きてきた私のような人間にははかりしれない試練であったのだと感じました。
以前から「中国って何でもケタが違う」という印象はもっていましたが、その理由の一端がわかったような気もしました。

何よりも、さまざまな試練を乗り越えて、それでも生きる人々の逞しさに心が激しく揺さぶられるのを感じます。
そして、そんな人々の生きざまを描いたイーユン・リーの筆力には脱帽!と感じました。

2010年8月 5日 16:21

先日この本の3回目の読みなおしをば致しましたところ、
過去2回にも増してハマってしまいました。
3度も読んで、更にのめり込むことがあろうとは・・・。
恐るべしです。

この小説は2005年に幻冬舎から出版されました。
福岡の空撮写真とヤドクガエルの、毒ドクしくも美しい表紙デザインを憶えている方も多いのではないでしょうか。
北朝鮮の兵士に福岡が占領されたら・・・というお話です。

最近、たまたま「共感」ということについて考えさせらることが多く、
この小説で重要な役を占めることになる少年たちの生き様を読んで、
かなり考え込みました。
また兵士たちのシンプルな強さに妙に惹かれてしまったりもしました。
結局、ヒューマニズムなんていらん!
という気持ちになったところで、いまは「ヒューガウィルス」を再読しています。
しかし、アンダーグラウンドの兵士って、どうしてこんなにカッコいいのでしょうねぇ。
ま、これはカッコよく書いてるんだから、カッコ良くて当たり前っちゃぁ当たり前。
でも、「半島を出よ」の少年たちは、非常にカッコ悪く書いてるのに、カッコよく感じられます。
不思議で、感動、です。

2010年7月15日 14:42

大好きな「遠野物語」は何度読んでも良いです!
岩手県の遠野町の知人を伝手に、
地元の古老などから聞いた民間伝承をまとめたものですが、
どの話もゾクゾクするような面白さが詰まっています。

柳田國男は、こういった民俗学の基本となる民間伝承を集めるにしても、
そういったことを語れる古老がみつけにくくなったと書いています。
古老とは、ただ歳をとっていれば良いというものでなく、
世の中のいろいろな動きに振り回されず、
静かに客観的な視点をもって世間を見渡し生きつづけ、
自分の見たもの聞いたものを後の世代にも伝えようという使命感をもった年寄りであると。
はたしてそんなふうに歳をとれたらと思いませんか?
アンチエイジング、なんて言ってる場合か!
と言いたいです。

アメリカのポール・オースターも以前「ナショナルストリープロジェクト」というのをやって本も出しました。
是非、現代の日本でもそういったムーヴメントを起こすべきではないでしょうか。

2010年7月15日 14:30

筆者は東京大学大学院総合文化研究科教授という物凄い感じの肩書きをお持ちの人物で、さぞや物凄い感じの文章なのかと思いきや、
サラサラと流れるように読める爽やかな文体の持ち主。
それだけで新しい時代の学者だという感じがします。
エッセイ風に、ときには小説風に、
カオスという新しい分野の学問的主題を素人用に説明してくれているので、
とっても興味深いのではありますが、
いかんせんかえって分かりにくくなってる部分もあるかと・・・。
素人だからといって、文章を理解できないわけではないんだがなぁ・・・。

以前、雑誌でフラクタル図形を見て、
子供の頃にえんえんとノートに描いていたさまざまな図形の連なりを思い出しました。
それから複雑系の話やカオス理論など、
素人向けに書かれた本は読んできたのですが、イマイチ・・・。
あのフラクタルの説明不要、問答無用の美しさの謎を説明してくれるものには、
残念ながら出会えておりません。

2010年6月21日 15:37

あの「十角館の殺人」の綾辻さんが、
またやってくれましたぁ。
ちっくしょ~!
面白いよ~!
久々に、大柄な長編小説を、
夢中になって、1日で、読みこんでしまいました。
ホントに面白いんです。
この小説。

主人公となるのは中学生ということで、
むむ、っと例の「告白」を想起してしまいますが、
本格ミステリーにしか描けない書き方で、
彼らを生き生きと描写しています。
物語に託すという方法でなら、
かなりの残酷シーンも耐えられます。
でも「告白」はちょっと・・・
エゲツなくなぁい?という私なのです。

ミステリーに、ホラーの味付けを加えたこの作品は、
一度目は怖がって読んで、
二度目は味わって読む。
という姿勢が正しいものと思います。

何度でも楽しめる作品です。

2010年5月31日 14:10

検索サイトは、ネットの迷宮を旅する現代人にとっての水先案内人です。
コレなくしては何処にも行けないという人が、殆どなのではないでしょうか?

また情報を発信したい側にとっては、
自分のサイトが誰にも気づかれずにこそっと存在しているという事実ほど、
寂しい気持ちになるものはありません。
これがビジネスツールとして、営業戦略として、ネットを利用したいという人にとっては、
まさに死活問題。
なんとしても検索サイトへの上位表示を目指したいのではないでしょうか。

という現状にあって、もはやSEOの技術はなくてはならないものとなっています。
書店やネット書店でも、常にSEO関連の書籍が発売されています。
さまざまな噂が流布され、情報の多さに翻弄されている人も多いはず。

本書は、検証に裏打ちされた論理的な内容で、
しかも即実践できるような流れで構成されているので、
SEO初心者にも経験者にもおすすめできる本です。

情報発信したいなら、SEOのスキルはもはや常識。
是非この本でその技を身につけて欲しいです!

2010年5月31日 13:55

いやぁ、コレ、本当に面白い本でした!
是非是非多くの人に読んでもらいたい1冊です!

ニコラ・テスラ(1856-1943)は、電気技師、発明家として、
かのエジソンと並んで活躍した大天才のひとりです。
ナイアガラ瀑布の発電所を開発した人であり、
かの地にはその銅像も建っています。

でもでも世間でニコラ・テスラの名を聞くとき、
そこにはダークなマッドサイエンティストの響きが・・・。
なんてことを検証すべく立ちあがった著者の研究の集大成とも言えるのが本書なのです。

空中放電の実験で、電気の妖しい魅力をプレゼンする科学者。
交流と直流のシステムの対立。
無線で地球規模の送電を可能にする世界システムの構想。
無線で動くロボットの構想。
CIAも秘密にしたがった研究資料。
などなど怪しげな行動や噂の数々が検証され、
ニコラ・テスラの天才ぶりがあますところなく論証されます。

なかでも印象深いのが、
ニコラ・テスラ本人が数々の天才的な発明の出所として、
「自分は受信機としてそれらを明らかにする役目を負わされているような気がする」
と語るところ。
凡人にははかりしれない天才の苦悩をかいま見たよう気がして、
少し背筋が寒くなりました。
その苦悩あったればこそ、我々がはかりしれない恩恵を受けていること、
それを素直に感謝したいと思いました。

2010年4月26日 15:38

とうとう出ましたBOOK3。
読む前に、しっかりとBOOK1と2の復習を済ませ、
姿勢を正して机に向かいおもむろに読みだしました。
いつもなら読み出したらcan't stopな私なのですが、
今回は大切に噛みしめるように読み、
かなり時間をかけて読み終えました。

読後、まず最初に浮かんだのが、
これはまだ終わりじゃないな・・・ということ。
続きがありそうな予感がしますね。
4冊揃って四季が揃うというような。

それから「ねじ巻き鳥クロニクル」でも気になっていた、
牛河のこと。
薄気味悪さをまとったなんとも魅力的なキャラ。
ディケンズ「デイビッド・コパフィールド」の、
ユライア・ヒープのような。
彼って、「ねじまき鳥」の世界で生きてますよね、きっと。
なんて考えだしたら、
みんな移行した世界が「ねじまき鳥」につながってるのかな?
なんて、今はアレコレ考えるのが楽しいところです。

2010年4月 7日 14:37

簡素な文体で世界を美しく見せてくれる、
素敵な短編集です。

作者は1972年北京生まれ。
北京大学を卒業後、アメリカで免疫学を修める。
その後、作家を志すエリートたちの集うアイオア大学で創作を学ぶ。
現在は米国オークランドのミルズ大学で創作を教えている。

この作品は英語で書かれたものだそうで、
外国語で書かれたということで、あのスッキリと美しい文体が生まれたのでしょうか。

現実世界には、貧しい者、報われない者、カッコ悪い者、などなど、
物語の主人公として、いまひとつな人々が溢れていますが、
どんな登場人物もイーユン・リーの手にかかれば、
豊かな愛情で生き生きとしてきます。
いまは母国を離れているようですが、作者の深く広い大陸的な愛を感じました。