2.作者か行の最近のブログ記事

2010年7月15日 14:30

筆者は東京大学大学院総合文化研究科教授という物凄い感じの肩書きをお持ちの人物で、さぞや物凄い感じの文章なのかと思いきや、
サラサラと流れるように読める爽やかな文体の持ち主。
それだけで新しい時代の学者だという感じがします。
エッセイ風に、ときには小説風に、
カオスという新しい分野の学問的主題を素人用に説明してくれているので、
とっても興味深いのではありますが、
いかんせんかえって分かりにくくなってる部分もあるかと・・・。
素人だからといって、文章を理解できないわけではないんだがなぁ・・・。

以前、雑誌でフラクタル図形を見て、
子供の頃にえんえんとノートに描いていたさまざまな図形の連なりを思い出しました。
それから複雑系の話やカオス理論など、
素人向けに書かれた本は読んできたのですが、イマイチ・・・。
あのフラクタルの説明不要、問答無用の美しさの謎を説明してくれるものには、
残念ながら出会えておりません。

2010年3月31日 16:15

マシンガン雅代さんによる、幸運をつかむ自分を育てるためのバイブルです。
実社会で成功を収めている人の言葉だけに重みがありながらも、
お人柄ゆえか、おもしろおかしくアッという間に読めてしまう、
とってもためになる本です。

ことに経歴がスゴイもので、
その行動力、パワーたるや見習いたいものです。
しかもゴッド姉ちゃんというあだ名の持ち主だけあって、
その世話好き、おすそわけ好きのお陰で、
こちらまで元気とパワーをもらえる本でした。

とくに付き合う人の選び方や、幸福な結婚の極意など、
とても具体的な「幸運のつかみ方」が書かれていて、
即実践できる開運術満載です。

2009年9月30日 14:45

スウェーデンの女性作家の作品です。
スウェーデンって、あんまり馴染みがないなぁ。
スモーガスボードとかボルボとかサーブとか、そんな感じかぁ、
と読み始めましたが、
コレが面白い!

この作者、
ななんとあのアストリッド・リンドグレーンのご親戚だとか?
おぉ、スウェーデン馴染んでいたではないかと、
思い当りました。
子供のころ、どれだけリンドグレン作品で励まされたか。
やかまし村に長靴下ピッピ、大好きでした。

この作品は、
ホームレスとなった女性の過去の現在、
そして未来をも予見させるミステリです。
路上生活について丁寧に描き、
精神の揺れ動く様をみごとに表現しています。

今後の活躍が楽しみな作家です。

2009年9月17日 16:41

今日は河合隼雄さんの書物を。

これまで数々の著作を読んできました。
それらは人生の大きな助けとなるものです。
亡くなられたと聞いた時はショックでした。
もっと沢山のお話を聞いていたかった、と感じました。

この『影の現象学』を読むと、
大谷崎の『陰翳礼讃』が思い浮かびます。
光あるところに必ず影も存在します。
人の内面も同様で、
心の底にいるもうひとりの自分の存在を感じたとき、
それが吉とでるか凶とでるか?
そんな危機に直面したときに、
自分をひろげる手助けをしてくれるのが、本書のような書物です。

著者は日本におけるユング心理学の第一人者です。
そのユングの言葉。
「影はその主体が自分自身について認めることを拒否しているが、
それでも常に、直接または間接に、
自分の上に押し付けられてくるすべてのこと
―たとえば、性格の劣等な傾向や、
その他の両立しがたい傾向―を人格化したものである」
なんとも切ない言葉です。

2009年8月17日 16:21

「この世には不思議なことなど何もないのだよ・・・」 
言わずと知れた衝撃のシリーズ第一弾です。

私が京極夏彦の小説を読むようになったのは、
ジョナサン・キャロル好きな会社の同僚にすすめられて以来です。
他人に勧められて本を開くなんてことのない人間ですが、
このときばかりは人の話は聞くものだと、思い知った次第です。

衝撃でした。
ホントに面白かった。
とりこになった。
眠れない、仕事も手につかない、食事も喉を通らない、
ともかく、
読み終わるまでは。

私がとくに好きなのは、
京極堂と関口氏があらゆる事柄について論じ合うシーンです。
あんなふうに自分の考えをとことん語りあってみたいっ。
いつも羨ましく、また自分が参加しているつもりになって読んでいます。

それから「南総里見八犬伝」のように仲間たちが助け合って(?)、
事件を解きほぐしてゆくところにも弱いです。
これは「巷説百物語」にも通じるところがありますね。

またこのシリーズを読み始めてからは、
民俗学の本が大好きになったし、
南方熊楠の本も好きになってしまいました。

おどろおどろしい妖怪の挿絵とも相まって、
明治頃版の「高野聖」(鏑木清方の挿絵)の雰囲気です。

このシリーズの続作を心待ちにしています。
どうか京極夏彦様よろしくお願い致します。

2009年6月25日 16:06

私が初めて読んだカート・ヴォネガットの本が『青ひげ』でした。
なので、数ある名作のうちコノ本について書きたいと思います。

正直、自分でもビックリしたのですが、
この本を読んでホロリときてしまいました。
最後はまさに圧巻でした。

普段(他の作品やエッセイ)は、
我々みたいな人種のことを「黄色いチビども」とかなんとか書いているのに、
そういった差別的なオモシロ発言を乗り越えた、
高みが見えたような気さえしました。
ホントにいいのか、これで、ヴォネガット!!
泣きながら訴えたくなるようなエンディングです。

ちなみにウチのダンナは、
1度読んだだけのウロ覚えで、
たまに「サティーンデューララックス」とつぶやいたりします。
彼にはわすれえぬ響きであるようです。

あと『バゴンボの嗅ぎタバコ入れ』も良いですよね。
大好きで何度も読み返しています。
なんかちょっとイイ話読みたいな、というときにピッタリです。

2009年6月17日 16:05

日本生まれのイギリス人作家であるカズオ イシグロも、
新作がでたら飛びついてしまう作家の一人です。

そのなかでも、今回は「充たされざる者」をとりあげたいと思います。

これまでのカズオイシグロ作品で、どれがイチバン好き?
と聞かれると、かなり、迷うところです。
とくに「わたしを離さないで」を読んでしまったら、です。

しかし敢えて、私はこの「充たされざる者」をあげたい。

このシュールな世界観、
やるせない人生の迷宮、
いいのかナ、笑っても?と、誰かに訊ねたくなるユーモア。
この本を読んでいる最中、何度くびをひねったか。
何回、「カワッテル・・・」とつぶやかずにはいられなかったか。
そんなモロモロがとにかく他の作家の本とは一線を画しています。

本の中に現れる世界の存在感。
これがものすごいです。
夢で行ったことのあるような街です、そこは。

特に、湖に近い巨大な団地を訪れるシーンが好きです。
あの造り。
すごく好きです。
団地を歩きまわる登場人物たちに、強風が何度も湖の方角から吹きつけてきますが、
この風の感じも、ちょっとほかでは得られないタッチです。
頭の中にあるはずの大事な記憶が、
この風で吹き飛んでいってしまいそうな、
不安感と、妙な安心感を同時にあおるのです。

とにかく何回も読んで、
その世界をウロつきまわりたくなる1冊です。

2009年6月15日 16:08

先日、古書店で入手し、
かなりハマってしまいました。
これはホントに面白い!!
今まであまり読んでこなかった旅行記ジャンルにも、俄然興味がわいてきました。

ご存じない方のために著者ご紹介(Wikipediaさんアリガトウ)です。

河口慧海(かわぐち えかい)1866年2月26日-1945年2月24日

黄檗宗の僧。仏教学者にして探検家。本名を定次郎という。僧名は慧海仁広。
中国や日本に伝承された漢訳仏典に疑問をおぼえたことが発端となって、インドの仏典の原初形態をとどめているというチベット語訳の大蔵経を入手しようとして、日本人で初めてチベットへの入境を果たした。


秘境チベットへ日本人で初めて潜入した際の大冒険を聞き書きで起こしてあるのが、
この「チベット旅行記」です。
まさにこれは、前人未到の潜入ルポですが、
さすが仏教者の求道心の深さ、一途さには心うたれます。
語りの軽妙さと、忌憚のない他の仏教者への言及など、
人柄をしのばせます。
心頭しちゃいますよね、こんな人いたら。

チベット国境に近い雪中の山中で、
凍った河をわたり、体を致命的に冷やしてしまい、
しかも白い雪に眼を焼かれ、
ようやく祈りの境地で困難を乗り越えるところがあります。

ここは村上春樹の「世界の終りとハードボイルドワンダーランド」の
世界の終りの1シーンを思い起こさせます。
現実に、あんな夢読みの体験をしている人がいたなんて・・・。
と、感動します!!

冒険あり、笑いあり、涙あり、
で、変なアクション映画を観るより、
ずっとワクワクしますよ。