4.作家た行の最近のブログ記事

2009年9月 7日 15:27

翻訳は村上春樹です。
原題は『July, July』と、なんとも素敵なタイトル。

60年代に青春をおくった人々が、
さまざまな人生を経て集う同窓会。
その後の人生を生き延び、晴れて参加できた人、
まともな状態ではないものの、足を引きずって参加した人、
生き延びることのできなかった人。
それぞれの人生が語られる章は圧巻。

期待、興奮、混乱、落胆など、
時間を追うごとに変わる"場"の状況が面白いし、リアルです。

ティム・オブライエンの作品は大好きで、
日本語に翻訳されているものは全て読んでます。
なかでも『ぼくが戦場で死んだら』や、
初めて読んだ『ニュー・クリア・エイジ』が好きです。
何しろ『ニュー・クリア・エイジ』読んだ時はブっとびましたね。
次回はこの作品について書きます。

何よりも、次々に登場するさまざまなタイプのタフな人々に勇気づけられます。
このタフさが世代的なものなのか私にはわかりませんが、
多分、これは皆が持ちえるタフさなんだろうと思います。

40歳近くなってから同窓会に集うのは、異な体験です。
懐かしくもあり、まったく未知の世界でもあるのです。

2009年8月12日 16:02

今日はW.P.キンセラの短編集『ダンス・ミー・アウトサイド』のお話です。
W.P.キンセラは映画『フィールドオブドリームス』の、
原作『シューレスジョー』の作者でもあります。

この『ダンス・ミー・アウトサイド』は、
まさに抱腹絶倒、涙チビっと、という名作です。
カナダにあるインディアン居住地に住む、サイラスとその仲間や家族のお話。
世間のマイノリティに対する、腫れものを扱うような態度を逆手にとって、
さまざまな笑いをしかけていく物語です。
それは語る人によっては、全然笑えない物語になりがちなストーリーでもあります。

自分をしっかりもつこと、
そこにはじめて生きる力が溢れ、
そこからしか生まれない笑いというものがあるのだと感じました。

私は本のタイトルになった短編が好きです。
どれが1番好きか?
という議論ができるのって、短編集の歓びですよね。

なぜか読んだ人に片っ端から感想を聞いてみたくなる1冊です。

2009年7月 8日 16:36

文豪とされる作家のなかでも、かなり好きなのが谷崎潤一郎です。

先日、浅田次郎の『見上げれば星は天に満ちて』で、
「秘密」という谷崎の短編を読みました。
いやぁ、なんでしょねぇ、あの雰囲気。
隠れ家のあの様子をそのままバーかなんかにしたいです。
そんな店に通いたいですぅ。

というわけで、この大文豪にはデザインの才があったとしか思えませんね。
『陰翳礼讃』のなかでもそのセンスの良さが光りまくってます。
タイトルだけをとっても、なんてカッコいいんでしょう。
トイレのこと、電灯のこと、女性の肌のこと、女性の着物のこと、
さまざまな事柄の見え方や見えない具合について、
細かく好きなように述べてあるのですが、
そのどれをとっても素敵なんですよね。

小説のなかで、
そういった個人的な趣味の世界を、思う存分、
つくりあげていく。
なんてすばらしい才能なんでしょう。
ホント、かっこいいよなぁ。