4.作家た行の最近のブログ記事

2010年3月31日 16:08

行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」
と銘打たれたこの本。
興味深い内容のものでした。

そもそも経済学というのは合理性に基づいて発展してきた学問。
でもその経済をつかさどるはずの人間て、そんなに合理的な生き物なの?
という疑問から著者はさまざまな実験を試みます。
この本では、
著者が仲間たちと行った実験のデータを元に、
人間の不合理性や、迷いや過ちを回避するには?
といった呼びかけがなされています。

相対性の真理や、ゼロコストの誘惑、社会規範上の報酬、
高価なものの真の価値など、
私たちの身近な消費行動についての痛いところをつく研究成果はお見事!
読みやすい文体で、面白おかしく、
行動経済学なるものの世界にひきこまれていきます。

2010年3月29日 15:57

1975年に発表された24編の詩が編まれた詩集です。
「私の家への道順の推敲」などの魅力的な度肝抜かれる作品が収められています。
私が谷川俊太郎の詩を読むようになったのは、
大好きな矢野顕子さんの「よしなしうた」を聞いてから。
どれどれ詩集なぞ読んでみようと思い立ち、
『二十億光年の孤独』『コカ・コーラレッスン』『これが私の優しさです』などを買い漁りました。
どれも素晴らしくて、多感な10代の私を支えてくれる本でした。
もちろん今読んでみても、心の芯をあっためてくれる詩集です。

『定義』は、その装丁もシンプルで素晴らしく、手にとったときのサイズや厚さが絶妙で、その存在自体が素晴らしい詩集ですが、
読んでみると、目からウロコの、何度読み返しても飽きない詩集です。
美しく笑えてなんだかホロッくる、そんな「定義」がありますか?
真似してみたくなるけど、やってみるとドでかい壁にぶち当たる、そんな「定義」は他にはありません。

人生の奥深い楽しみ方をみつけた先人の言葉に、
感動するのみです。

2010年3月18日 14:40

ゴールデン・レトリーバー好きの皆さまお待たせいたしました。
(とは言え、私はバセット・ハウンド党のルル派ではございますが---
ご存知のない方は、デイビット・ハンドラー著「真夜中のミュージシャン」ご参照を)

あの素晴らしい犬の世界が再び!です。
過去の忘れられない傷を負った人々が、再び光の中を歩き始める物語。
愛犬の姿をした天使の助けを借りて。
なんてホントにあることです。
私たちの生活の中でも。

これを読むまで知らなかったのですが、
あの「ウォッチャーズ」当時、クーンツは犬を飼っていなったそうで。
それでもあれだけ書けるんだからスゴイ!
ま、クーンツは今でも宇宙人とは生活していないでしょうし、
それでもアレだけ書けるんだから、ホントにスゴイ人なのですが。

今回も悪役側にも興味深い人物が登場するので、
かなり面白く読めました。
この人物、とてもいいキャラなので、
もっとよく知りたくなります。
今度また書いてくれないかな。

2009年9月 7日 15:27

翻訳は村上春樹です。
原題は『July, July』と、なんとも素敵なタイトル。

60年代に青春をおくった人々が、
さまざまな人生を経て集う同窓会。
その後の人生を生き延び、晴れて参加できた人、
まともな状態ではないものの、足を引きずって参加した人、
生き延びることのできなかった人。
それぞれの人生が語られる章は圧巻。

期待、興奮、混乱、落胆など、
時間を追うごとに変わる"場"の状況が面白いし、リアルです。

ティム・オブライエンの作品は大好きで、
日本語に翻訳されているものは全て読んでます。
なかでも『ぼくが戦場で死んだら』や、
初めて読んだ『ニュー・クリア・エイジ』が好きです。
何しろ『ニュー・クリア・エイジ』読んだ時はブっとびましたね。
次回はこの作品について書きます。

何よりも、次々に登場するさまざまなタイプのタフな人々に勇気づけられます。
このタフさが世代的なものなのか私にはわかりませんが、
多分、これは皆が持ちえるタフさなんだろうと思います。

40歳近くなってから同窓会に集うのは、異な体験です。
懐かしくもあり、まったく未知の世界でもあるのです。

2009年8月12日 16:02

今日はW.P.キンセラの短編集『ダンス・ミー・アウトサイド』のお話です。
W.P.キンセラは映画『フィールドオブドリームス』の、
原作『シューレスジョー』の作者でもあります。

この『ダンス・ミー・アウトサイド』は、
まさに抱腹絶倒、涙チビっと、という名作です。
カナダにあるインディアン居住地に住む、サイラスとその仲間や家族のお話。
世間のマイノリティに対する、腫れものを扱うような態度を逆手にとって、
さまざまな笑いをしかけていく物語です。
それは語る人によっては、全然笑えない物語になりがちなストーリーでもあります。

自分をしっかりもつこと、
そこにはじめて生きる力が溢れ、
そこからしか生まれない笑いというものがあるのだと感じました。

私は本のタイトルになった短編が好きです。
どれが1番好きか?
という議論ができるのって、短編集の歓びですよね。

なぜか読んだ人に片っ端から感想を聞いてみたくなる1冊です。

2009年7月 8日 16:36

文豪とされる作家のなかでも、かなり好きなのが谷崎潤一郎です。

先日、浅田次郎の『見上げれば星は天に満ちて』で、
「秘密」という谷崎の短編を読みました。
いやぁ、なんでしょねぇ、あの雰囲気。
隠れ家のあの様子をそのままバーかなんかにしたいです。
そんな店に通いたいですぅ。

というわけで、この大文豪にはデザインの才があったとしか思えませんね。
『陰翳礼讃』のなかでもそのセンスの良さが光りまくってます。
タイトルだけをとっても、なんてカッコいいんでしょう。
トイレのこと、電灯のこと、女性の肌のこと、女性の着物のこと、
さまざまな事柄の見え方や見えない具合について、
細かく好きなように述べてあるのですが、
そのどれをとっても素敵なんですよね。

小説のなかで、
そういった個人的な趣味の世界を、思う存分、
つくりあげていく。
なんてすばらしい才能なんでしょう。
ホント、かっこいいよなぁ。