6.作者は行の最近のブログ記事

2010年2月18日 16:34

ドクター・ケイ・スカーペッタの活躍する人気シリーズの最新刊です。
シリーズ最初の「検視官」が出版されたのが1990年、リアルタイムで読んできているので、登場人物たちとも20年来の付き合いということになります。

我が人生と同じように、さまざまな紆余曲折を経て、登場人物たちも歳をとり、危機や事件を乗り越えています。
もうほとんど友達のような感覚でいるので、前刊のようにマリーノが無茶する場面などは読んでいても大変苦痛でした。
コーンウェルも随分ひねくれて意地悪になってるなぁと、作者を恨んだこともありました。
でも、結局、人生ってそんなもんだよね。
という境地に至った頃あいに出た最新刊だっただけに、ひとしおでした。

愛読するシリーズものを幾つも抱えている私ですが、レギュラー陣にここまでいろいろやらせるのって、このシリーズだけです。
書く方も辛かっただろうけれど、登場人物たちは、きちんと成長しているようですね。
よかった。

2009年9月14日 12:25

ポール・オースターは大好きな作家です。
この人の脚本で作られた「スモーク」という映画。
これが好きで、煙草という悪癖と出会ってしまったほど。
役者のハーヴェイ・カイテルにも惚れたし、
続編の「ブルー・イン・ザ・フェイス」には、
これまた大好きなルー・リードも出演していたりで、
ホント、たまらんです。

「ナショナル・ストーリー・プロジェクト」の基になったのは、
ラジオ番組のリスナーとっておき話を集めて放送する企画。
本に掲載されているのはその一部ということです。
そもそもこの企画というのが、とてもいかしてますよね。
さまざまな世代の、さまざまな立場にいる人々の、
生の体験が語られていくなかで、
ポール・オースターの目を感じます。

笑いあり、涙あり、腑に落ちない思いあり、
不思議な話、ぞっと鳥肌がたつシーン、
すべてが体験者の言葉で語られていきます。

まさに人生!
こんな本が読みたかったぁ。
という至極の本です。

2009年7月 2日 13:20

今回はポール・ボウルズです。

最初は映画「シェルタリング・スカイ」を観て、そのあと小説を読みました。
なにしろ映画がカッコよかったもので。
ベルトルッチ最高。
あれ以来、ジョン・マルコビッチもしぶ~く好きです。

私が買った小説は、「天蓋の空」という邦題がついていて、
このなんとも素敵な響きがとても気に入りました。
行ったことないけど、タンジールの濃い青の空が目に浮かぶようです。

ポール・ボウルズの作品は「優雅な獲物」「遠い木霊」なんかも読んで、
かなり心地良いショックを味わいました。
高橋源一郎さんがクリスピーな文体と評していたのを読み、
原文で読んでもみました(意味を辿るのに必死でクリスピー感は味わえなかった)。
遠い遠い旅路の果ての、という風な景色が小説全体に漂っています。
物理的な遠さだけでなく、心と肉体との遠さ。

なんだかいろいろなことから遠ざかりたい、という人にオススメです。

奥さんのジェイン・ボウルズも好きで、
「2人の真面目なレイディ」には度肝を抜かれました。
まえにマリクレールにのってた詩にふかく感動したこともあります。
タイトル忘れてしまったけど、
鉄の椅子と老女がでてくるようなヤツでした。
読んだ当時はまだ若かったので、
いま読んだらもっと胸にくると思うのだけれど。
タ、タイトルがぁ・・・、思い出せません。

ご存じの方、誰かおせえてください。

2009年6月24日 13:14

今回はしぶいSFです。

マニアではないのですが、
小学生の頃に『見えない友達34人+1』を読んで、
それまで知らなかった世界をのぞき、
ひとり胸を高鳴らせたことをいまだに覚えています。

さてこの『世界の中心で愛を叫んだけもの』ですが、
タイトルに聞き覚えのある方は多いと思います。
ただし我が邦で話題になった、アノ小説とはだいぶ違うものです。
死にゆく幼い恋人を抱いて泣き叫びたいような人にはオススメできません。

どこまでもハードでクールな小説なのです。
早川書房からでている短編集のタイトルになっています。

いくつか特にすきな短編をあげると、

世界の中心で愛を叫んだけもの:
 イノセントな愛は怖くて哀しいっす。トルーマン・カポーティSF版という感じ。
101号線の決闘:
 コレが面白いっ!!バトルイズビューティフルな1編。
サンタ・クロース対スパイダー :
 パロディものでこんなに可笑しいのってはじめて。
少年と犬
 ふぅん、こんなのも書くんだぁ、オッサンやるねぇ、という感じ。

なにしろこの本、著者の前書きが面白い。
その無茶苦茶さが。
しかし文章がかなり美しい。
とくに波のレースを描写するシーンなんか、ハッとします。
そんなのも含めて、
私はこの本を読むと、どうしてもカポーティが浮かんでしまう。

SF作家では一番文章がウマイと思うのです。