1.作者あ行の最近のブログ記事

2009年8月26日 16:16

またも短編集です。
大久保康雄氏訳の新潮文庫短編集1です。
これまたスッゴク面白い本であります。

O・ヘンリの作品には、
社会の端っこの、ほんのりと薄暗い辺りに住まう人々が、
数多く登場します。
そうです。あなたやわたしのような、です。

普通に生活しているつもりでも、
たまに、ある日突然ホームレスになったらどうしよう?
とか、やむにやまれぬ事情で犯罪者になっちゃったりすることもあるかも?
なんて思って不安になったりすることありませんか?
大丈夫。
そんなときにはO・ヘンリを読んでおけば安心です。
どんな不遇におちいっても、きちんと生きていけるぞ、
というような、妙な安心感を得ることができます。

しかも文章のはしばしが美しい。
描写や隠喩が細やかで風のように軽やかで。
そんな言葉の流れに浸っているだけでも至福です。

特に好きな1編は、
「ハーグレイブズの一人二役」でしょうか。
これをきちんと読めば、
最近テレビなんかではやっている「ちょっといい話」モノが、
如何にチャチか、わかるはずです。

2009年7月29日 16:46

食わず嫌いだった浅田次郎作品にはまって数か月。
このところ読みまくっています。

何がいけなかったか、食わず嫌い。
映画「鉄道員」と「壬生義士伝」の貧乏しみったれ感のせいです。
あれで小説もどうせしみったれなんだろうと思いこんでました。
スミマセン。
いやアリガトウ。
いまは日々そう叫んでいます。
涙、流してます。

思えば最近ぜんぜん泣いてなかった。
人生で最も辛いと感じたとき、
涙はまったく出なかった。
あぁ、ホントに辛い時は涙がでないんだな、と初めて知りました。

それがどうでしょう?
最近は涙腺ゆるみっぱなしです。
天切り松のおかげです。
しかも、不思議に爽快な涙。
なんだか身も心も洗われていくような、
そんなキレイな涙なんです。
仁義の切り方、松の話し方、本物の人情などなど、
全部が最高です。

2009年6月19日 14:29

こたびは「雨月物語」でゆきまする。

序にあるとおり、
「雨は霽れ月がは朦朧の夜、窓下に編成して、以て梓氏に畀ふ。題して雨月物語と云ふ」
であります。

私は夜の散歩をよくします。
家の近所に理想的な交差点があり、そこにかかる歩道橋には理想的なベンチがあるので、
座って車の流れを目で追ったり、たまに夜空を見上げたりもします。
雨上がりには空気が澄んで、ことのほか気分のよいものです。
そして朧月がみえる夜には、何かが起こりそうな気配を感じます。
先日惜しくも亡くなられた忌野清志郎さんも永遠に歌いつづけるように、
雨上がりの夜空の月は特別な存在なのです。

雨月物語のなかで、
雨がやみ、月がでて、くるぞくるぞ、というワクワク感がたまらなく好きです。

義の心や、夫婦の想いの切なさや、おどろしさよりも、
その透明感のある文章の美しさがきわだって、物語が胸にせまってきます。

未読の「春雨物語」も楽しみです。